外堀埋める夫たち

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「ま、また……っ、そうやって言いくるめようとしてるんでしょっ」 イワナガヒメはサコマに顔をずいっと近づける。 ーーおや、これは珍しい。ヒメにしては積極的だな。 頭に血がのぼっての行動だろうに、サコマはそんな分析をしていた。 顔を真っ赤にさせて、近寄ってきて……。ああ、もう本当にーー。 ーー可愛いんだから。 「ちょっ、サコマちゃんっ?!」 「何です?」 「い、い、今……お、おでこに……っ」 「口づけましたが?いい加減慣れてください。それとも……唇のが良かったですか?」 今度はイワナガヒメの口にと思ったが、手で防がれた。気にくわなかったので()めてみた。 「や、やめてよ。サコマちゃんっ」 「やめてほしいなら、旅行行きますよね?」 「嫌……」 「行きますね?」 「…………はい」 こうして無事にサコマとニニギは、嫁を頷かせたのだった。
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