DIANA-141、これで最後にしよう

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 そして、それから長い年月が過ぎていった。最初の指導者達がいなくなった以降も  ―― 「戦闘は終了しました。索敵範囲内に敵アンドロイドは認識できません」  ムサシは、統合連合軍の司令官に向かって今回の戦闘報告を送った。確かに、今の戦闘は終了した。しかし戦闘エリアを制圧出来た訳ではない。渋谷エリアにはまだ無数の敵の陣地が展開されている。敵も味方も同じ能力を持つアンドロイドなのだ。アンドロイド達の戦闘シミュレーションでは完全に互角な戦いがこれからも続くという結論が出ているのだ。  終わりのない不毛な戦い、しかしアンドロイド達に与えられた命令「敵のアンドロイドを殲滅せよ」、はロボット工学三原則に従った正しい命令なのだ。従ってアンドロイド達がこの命令に逆らう事は出来ないのだ。この星が滅びるまで戦争を永遠に実行するしかない。  人間の誰かが「もう終わりにしよう」という戦争停止命令をアンドロイド達に通達しない限りは。    ―― ※ ロボット工学三原則  第一条   ロボットは人間に危害を加えてはならない。   また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。  第二条   ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。   ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。  第三条   ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、   自己をまもらなければならない。 (出典:アイザック・アシモフ『われはロボット』小尾芙佐訳、早川書房)
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