危険色の針路

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その3 剣崎 矢島さんは既に察しているようだった… 「なあ、剣崎よう…。業界じゃあ、若が急死して、相和会内では跡目争いの内部対立が起きてるってもっぱらだろう。特に関東の東龍会だ。連中は、会長の健康面を視野に入れて、今から揺さぶりをかける腹だぜ」 やはり矢島さんも、”ここ”に目が行っていたんだ 言うまでもなく、ライバルの建田さんもだろうが… ... 「その際、傘下の星流会を向ける。おそらくな。剣崎、その切り口は何だと思う?」 「ガキを全面に押し出して、我々の縄張り内へ介入してくのではと…」 「ああ、俺もそう見立ててる。でよう、その砂垣とかってハンパもん、その後どうしてるんだ?」 「諸星さんの保護下で愚連隊を仕切ってます。星流会が我々に向かって来る際は、ガキの先頭にはコイツを持ってくると思います」 「ならよう、そこで突破口が開けりゃ、東龍会のトップ、坂内さんが動くってことだな」 「自分もそう見てます」 「会長もなんだな?」 「たぶん、そのようです」 ここで矢島さんと俺の見据え先は定まったと言える ... 「よし…!何しろ剣崎、その娘たちの方は、”うまく”やってくれ」 「承知しました…」 「…本家には明後日入ることになってるから、会長には今日のお偉いさんの話は報告するが、お前からも事前に頼む」 「わかりました…」 ここで俺は室を出た 県警と権力側からのシグナル、そして会長が血縁に仕立てた少女二人… なんの脈絡もなさそうに見えるこの二つの軸こそ、相馬会長が他界した時、ひとつの方向で結びつくことになる 俺は漠然とながらそう直感した
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