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その2
ケイコ
テツヤは、手にしていたスプーンをチョコパの受け皿に置いてから話し始めた
コイツにしては、結構まじめな顔つきで…
「二人はさ、今回の一連の出来事で、個々が己の信念と猛る熱い思いに従って行動すれば、組織は最低限存在してるだけでこと足りる。…いずれ、何か事ある局面においては、今までの枠など取っ払っても、しかるべき方向に自然と猛る女たちが結集できる土台を新しい南玉から構築し、更にそれを波及させていく…。荒子さんは南玉内で、矢吹さんはその外から…」
「…」
「…つまり、互いが組織内で拘束され合わなくても、ひとつの方向性に向かって無意識に協力できる流れを理想にしようって、誓いあったそうだわ。二人がそう認識し合ったこのことを、これから新しい南玉を作り上げていくおけいには頭の隅にでもしまっておいて欲しいって。オレなんかには難しくてよくわからなかったから、紙に書いてかみ砕いてね…。お前に話す内容を整理して暗記してきた…。お前、意味わかった?」
「ああ、よくわかった(笑顔)。そのこと、胸に刻んでこれから南玉の一員としてやっていくからって。先輩にはそう言ってたと伝えてよ」
「ああ、了解した。はは…、よかったわ、何とか主旨が伝わってみたいで(苦笑)」
テツヤは胸をなでおろしていたわ(苦笑)
...
その後、テツヤとは取り留めのない話題でキャハキャハ笑い声上げながら、楽しいひと時を過ごしてね
店を出る際は、レシートの引っ張り合いに勝った私がレジを済ませて、テツヤとは店の前で別れた
ちょうど時間か…
私はU駅近くのパチンコ店前まで歩いた
ここでいいんだよな…
歩道わきに立って、あたりをきょろきょろ見回していると、後方から声がかかった
...
「やあ、待ったかい?」
「いえ、今来たところです」
サングラスをかけていない剣崎さんは、ニコッと笑顔をこぼしていた
「じゃあ、さっそく向かうとしよう。…今日はあの車だ」
剣崎さんはそう言って、5M程離れた車道に止まっている赤い車を指さした
あらら、今日は黒塗りじゃないのか…
「ハハハ…、何きょとんとしてるんだ。おかしいか、俺みたいなもんがこんな車乗り回すのは…」
「いえ…」
私はぎこちなくそう返事をして、真っ赤なスポーツカーの助手席に乗った
...
これから私は、相和会の会長と会うことになっている
「…今日は俺からすれば仕事だが、これから長い付き合いになるし、街中での待ち合わせだったんでコイツで来た。本家までは30分かからんが、まあ、リラックスしててくれ」
相和会の大幹部だという剣崎さんは、フツーの女子高校生に映る私を文字通り萎縮させないための気遣いから、ラフな格好でマイカーを出してくれたようだ
でも、自分で言うのも何だが、ちょっとカタくなっているよ、私
運転する剣崎さんは、盛んに横目でチラチラ私の様子を伺っていたし…
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