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「お おのれぇ……」
鼻から血を垂らしながらそいつは再び立ち上がる。酒で痛みがいくらかマヒしてるのだろう。
周りから歓声や野次が飛ぶ、当然賭けも始まった。
俺は左半身を前に右を引いてリズムを取った。
ガキの大ぶりなフックに合わせて再び鼻にカウンターを合わせる。伸ばした手をそのままに相手の後頭部に添え足をかければ綺麗に転がった。
酔った状態で素人が戦えるわけないだろう。
相手の派手な転げ様に笑いが上がったが、やられた本人は気にしていない様だ。
「なかなかやるじゃねぇか」
否なかなかやるじゃなくてお前手も足も出ていないじゃないかよ。
手加減もめんどくさいから次で沈めるか。
次も先の動いたのは相手だった、意図的にそうさせたのだが相手のそれは俺の予想外の行動だった。
「おおお、おい! 何をする!! 」
カウンターから取り上げた砂時計をガキは事もあろうに横倒しにしやがった。
ギャラリーは大爆笑。俺は初めての敗北を期した。
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