1秒の願い

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1秒の願い

   私は自分の部屋で晩御飯のお味噌汁に手をつけながら、目の前のテレビでやっている天気予報に視線と耳を傾けていた。 「明日からは天気は崩れ、お昼過ぎからは傘が必要になるところもでてくるでしょう──」  せっかくの休日だというのに、雨となれば外出もできやしない。そんなことを一人思いながら、目の前の料理に箸を運ばせていた。  気づけば、私は二十歳になり、今年で大学三回生になっていた。地元から離れた今の土地にも、もう二年近く住んでいる。  一人暮らしも考えたけど、心細かったし、いざ一人で生活するって考えると期待よりも不安が上回ってしまい、私はシェアハウスという選択肢をした。  幸い、私が今住んでいるこのシェアハウスはいいところで、一緒に同じ部屋で寝食を共にしている女の子ともすぐに仲良くなれた。とはいえ、田舎者の私とは違い、その子は今日も外出していて、私の知らない人たちと仲良くお酒を飲んでいるのだろう。朝帰りということも少なくない。  だからと言って彼女のそういうところが苦手というわけではない。むしろ羨ましいと思ってしまう。それだけの行動力があり、それだけの魅力が彼女にあることが。到底今の私に彼女のようなことはできない。  そんなため息交じりの取り留めないことを思いながら、食べ終わった食器を持って立ち上がる。 「──明日から天気が崩れるので、流れ星を見るなら今日までってことですね」  テレビからはコメンテーターのそんな声が聞こえてきた。 「流れ星、か……」  不意にその言葉が気になり、私は持っていた食器をキッチンまで持っていき、水につけるだけつけて、部屋からベランダへと出る。  そして、小さな星が煌めく天を仰いた。
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