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Purple Star
いつものこの時期なら……
木々が赤や黄色や茶色におめかしなんかして
うろこ雲が広がり、オリオン座が夜空に輝く、そんな季節。
でも今年は違う。
雨が続いて晴れた日なんて奇跡ってレベル。
モヤっとした生温い空気も
木々や土の青々とした匂いも
水滴が色んな音を奏でるのも
雨の日にしか感じられないし、雨は嫌いじゃないけどね。
今日は大好きなアーティスト、HALのラジオの日。
毎週火曜日の深夜26:30から30分間のラジオの時間が私に最高の幸せの時間を届けてくれる。
少し遅い時間だから一度夜仮眠を取ることにする。
ラジオがはじまる5分前に目覚ましをセット!
おやすみなさい。
☆ ☆ ☆
「おはよう、Lili」
目覚めるとHALが運転する車の助手席に座っていた。
遥は優しい笑顔と甘く色っぽい声で話しかけてくれる。
HALはお花畑にいるようなとてもいい香りがするなぁ。
「さぁ、今から夜空のドライブにいくよ」
車の天井はオープンになり見たことのない乗り物に変形する。
車から手を伸ばすと星に触ることができ、その星たちは色んな音を奏でる。
青い星は温かく高音で、赤い星は冷たく低音の音が出ている。
夢中で色んな星に触ろうとして足元がふらついてしまう。
するとHALはバックハグで私を支えてくれる。
少し恥ずかしい……けど……嬉しい!!!!!
HALはハグをしながら耳元で歌を歌ってくれる。
はぁ……なんて幸せなんだ。
☆ ☆ ☆
HALがさっき歌っていた曲と同じアラーム音が鳴り響く。
さっきのは夢?! アラームを止める。
部屋は倒れたディフューザーの香りが充満していた。
時刻を見ると26:35。
爆睡して起きれなかったようだ。
慌ててラジオをつける。
聴けなかった5分が気になって仕方がない。
けど、幸せな夢を見ることができたしウハウハだ!
あっという間にまた5分が経ち、ラジオのCMがはじまる。
ふとカーテンを開けて空を見上げる。
雨はいつの間にか止んでおり、雲一つない空。
星たちがキラキラと輝いている。
月はマンマルの満月。
そして一筋の流れ星が流れる。
HALもこの空を見てるかな。
なんて。
後半のラジオがはじまり、あっと間に26:55。
ラジオの最後に私がリクエストした遥がつくった
「星を一緒に見ないかい」という曲が流れる。
夢の中でもアラームでも流れた曲。
ラジオネームは本名にしている。
だって私の名前を呼んでほしいから。
ラジオの最後に私の名前を呼んでくれた奇跡。
嬉しくて仕方ない!
ラジオが終わった瞬間にTwitterの通知が届く。
――――――――――――
さっき、流れ星をみたよ。
キミもみていたかい?
――――――――――――
そんなコトバが届く。
同じ空を見上げ、同じことを思った私はとても嬉しくなった。
これが星降る真夏の夜に起きた奇跡。
さて、さっきの続きの夢をみようかな。
おやすみなさい。
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