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ぽかんと棒立ちしている僕の前に、レイナさんはゆっくりと舞い降りてきた。
地面に着地すると、それまで展開していた機械は、パタパタとコンパクトと畳み込まれ、レイナさんの体の中に納まっていった。開いていたハッチはプシューという音とともに、一気に閉じた。
レイナさんは降り立った瞬間、閉じていた目を開くと、僕をじっと見つめた。
「……見ての通り、私は惑星すら破壊する武装を持つ銀河兵器。とてもあなたの相手をできるような者ではないわ」
「僕にとってはレイナさんは……初恋の人です。宇宙のどこの誰だろうと関係ないです。僕にはただのかわいい、キレイな女の子。それに地球の危機を一瞬で解決してしまうなんて、なんか尊敬します」
顔を下に伏せながら、少し照れながら、ボソッと話してみた。
惑星衝突、アーマノイド、地球外生命、銀河兵器、あまりにも想像を超えたことが色々ありすぎて、どうでもよくなっていた。今は純粋に自分の気持ちに素直になってみたかった。
すると、レイナさんが顔を赤らめ、少し考えた様子でこっそり話しかけてくれた。
「ありがとう……じゃあ、最初はお友達からで……いいかな?」
照れながらも、ニッコリと笑う彼女の表情はいままで見たことのないような素敵なものだった。もし天使がいたら、こんな感じなんだろうなとさえ思った。
「ここであったことは……二人だけの秘密ね?」
人差し指を口に当て、首をかしげた。
二人だけの秘密……その言葉に少し高揚しながらも、不思議と彼女に自然に語りかけることができるようになっていた。
「絶対秘密にします。とりあえず地球を救ってくれたお礼に、どこかに遊びに連れていきたいんだけど……行きたいところないですか?」
「そうねえ、あのね? あんみつ? あれ一度食べてみたかったんだけど、連れていってくれるかな?」
「それなら、駅前にある和菓子屋さんのあんみつがおすすめです! あずきがたくさん入っていて、ボリューム満点なので。今度の日曜日、空いてますか?」
「日曜日ね、わかった、空けておく。星団からの指示も当分来ないと思うし」
レイナさんとの初デートの約束! 地球最後の日に勇気を振るった甲斐があった。
「今度は僕がレイナさんを守ってみせます。これでも空手には少し自信があるので」
拳を力強く握り、前に出してみた。
「ユウマ君って、面白い子ね。こんなことがあっても、なんとも思わないなんて」
両手を絡め、クスクスと笑うレイナさん。やっぱり僕にとっては普通の女の子だ。
「地球がどうのこうのより、僕はレイナさんのことのほうが気になります。これからよろしくお願いします」
頭を深く下げ、右手を彼女の前に差し出した。
「ええ、よろしく。私も色々知りたいことがたくさんあるんだ」
両手でそっと僕の手を握ってくれた。僕の中の何かが、熱くなるのを感じた。
でも僕はまだ想像していなかった。まさか、あんみつをあんな場所で、二人で食べることになろうとは……!
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