第一話

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第一話

 2147年、ある国に最先端の技術で全てを管理している、未来都市があった。この未来都市では、生み出された技術を実用化するべく作られた都市である。実際に人が住むこともでき、住民は不自由なく暮らしている。  そんな未来都市は定期的に国へ通信を行うというものがあるのだが、その通信が突然途絶えるといった事態が起きた。  一体何があったのか突き止めようとするが、現地へ足を運ぶしか無いといった状況であった……。  そんな未来都市の北門に向かう、一台の車がいた。その車には4人のエージェントが乗っていた。  彼らは国連所属の軍隊から選抜されたエージェントのチーム、通称 『Ace』(エース)である。軍隊でも対処する事が難しい事態において被害を最小限にしつつ迅速に解決できることから、軍や大統領からの信頼がとても厚い。  北門の前に到着し、それぞれ車からウェポンケースを取り出し自身の装備を整える。  「早く片付けて帰ろう……」  黒のコートを着ている彼の名前はカルロス。  Aceの中でも射撃の腕前が飛び抜けており、特に二丁拳銃の扱いに長けている。任務中や日常でもクールで口数が少ないため、顔や声で感情を判断するのが彼との接し方だ。  「まぁまぁ! そんなに急がなくてもいいんじゃない?」  ワイシャツを着こなしている見た目が爽やかな彼の名前はカーティス。  言動や童顔なせいで見た目が幼く見えるのがコンプレックス。そんな見た目に反して強力な8インチマグナムを片手で使う。では戦力の中心となり、任務遂行の大きな要となっている。  「急がなくても早めに終わると思うぞ。確認するだけだからな」  ラフな格好で陽気な雰囲気を漂わせる彼はジャック。  このAceでもっとも能天気なやつである。ただ、その能天気さが今までの任務において周りの支えとなってきたこともまた事実だ。このチームの中でただ一人、フルオートで撃てる拳銃を使うエージェントである。一発あたりの威力が低いとはいえ、数で制圧することができる。カーティスとはまた違う制圧力が特徴だ。  「皆様準備はできましたかね? そろそろ街へ行きますよ」  一人だけスーツを着ている紳士的な彼はチェスター。  紳士的な態度ではあるが、元はマフィアの護衛だったという経歴がある。手段を問わないやり方という点が気に入られ、Aceのリーダーとして抜擢された。彼のやり方は静かに迅速に、そして徹底的だ。その影響か彼の拳銃にはサプレッサーが装着されており、使う弾薬も一発が重い大きめなものを使う。常に冷静沈着で、的確な判断を出してチームを統率する。    4人は既に開いている北門をくぐり、未来都市の内部へと踏み入れていった……。  カーティスが辺りをキョロキョロしながら言う。  「中は誰もいないね。それに静かだよ」  「変ですねえ……。人のいる気配すらしませんね」  チェスターが後ろで手を組みながら話す。  普段なら活気があるであろう場所が、物音どころか鳥の声すらも聞こえない静寂に包まれた場所となってた。  「なんだあれは? ちょっと確認してくる」  ジャックがうつむきながら歩く一人の男に気がついた。男の元に駆け寄るジャック。  「おい、この街はどうなっていやがるんだ? 人もいない、声もしな――」  「ジャックくん気をつけて! 様子が変だよ!」  カーティスが叫ぶ。  男は顔をゆっくりと上げた。ニタニタと笑っていて、返り血がついている。何かに快楽を得てそれに従うだけの人間の皮を被った獣と化していた!  ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!と雄叫びを上げる男。ジャックへと掴みかかる! ジャックはそのまま男を蹴り飛ばした! 男は倒れるが、間髪入れずにジャックを睨みつけ隠し持っていたナイフを取り出した。  「そこのあなた。今すぐそのナイフを捨てなさい。捨てなければ発砲します」  チェスターの忠告を無視して、殺意をあらわにして近づく男。撃たれることを恐れていないようだ。  「仕方ないです。ジャック、発砲しなさい」  呆れ顔をしたチェスターの命令に、ジャックは「すまねえな」と一言いいつつ胴体に3発ほど弾を撃ち込んだ。男は撃ち込まれていることに気づいていないかのようにジャックへと近づく。続けて発砲するが怯む様子も無かった。男は一気に詰め寄る!  「ジャック君! 危ない!」  カーティスがマグナムを構える。発砲は命令されていないが、仲間の危険を感じ咄嗟の判断で引き金を引く! 重みのある銃声と共に強力な弾丸を男に撃ち込む!  男は吹っ飛び、そのまま息絶えた……。  「チェスター君、ごめんなさい」  「カーティス、命令していない行動はやめてください。とはいえ、仲間を助けるための仕方ない行動です」  「どうだカルロス、そいつは死んでいるか?」  カルロスが襲いかかってきた男へと近づいた。ジャックの問いにカルロスはうなずいた。  「なんでこの人襲ってきたんだろう……。僕達を殺す気だったよ?」  「もしかしたら、このような人達が街中にいるかもしれませんね。任務を再度確認し、作戦を構成しなおしましょう」  チェスターは未来都市の電子地図を展開した。  「まずこの北ゲートからカルロスとカーティス、2人で街の中心部へ向かってください。私とジャックは別方向から向かいます」  「中心部にある大きなタワーを目指して行けばいいんだね! タワーって何があるの?」  「そのタワーにはこの街全体を制御する為のシステムがある。未来都市に関するありとあらゆる情報が記録されている。その情報で何があったか突き止めるんだ」  カーティスの問いにジャックが答える。  お互いに任務や進行するルートを把握し、マガジンへの弾込め等の準備を整えた。  全員の準備が終えた事を確認し、チェスターがこう言った。  「では作戦へと移りましょう。では解散!」  その言葉を合図に、二手に別れて捜索を再開する事にした。  この街で一体何が起きているのか、原因はなんなのか。真相をつかみに一歩づつ中心部のタワーへと足を進める。  この先にさらなる恐怖が待ち受けている事を彼らはまだ知らない……。
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