第3話 洗脳

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第3話 洗脳

「そうしてよ。理由(りゆう)(おし)えてくれないと信用(しんよう)できないよ」  (こう)(かがみ)()かって(じぶん)分に(こえ)をかけているような錯覚(さっかく)(おぼ)えた。 「()かりました。では説明(せつめい)します。(わたし)があなたに(こえ)をかけたのは、近々(ちかぢか)、この(まち)悪意(あくい)をもったAI(エーアイ)(あらわ)悪事(あくじ)(はたら)くからなのです」 「ありがちな(はなし)だな……。どのみち悪意(あくい)をもったAI(エーアイ)人間(にんげん)(がい)(あた)えたら強制的(きょうせいてき)にシャットダウンされるじゃないか!?」 「はい。(たし)かに、AI(エーアイ)制御法(せいぎょほう)がありますから、中央(ちゅうおう)政府(せいふ)のシステムが悪意(あくい)AI(エーアイ)強制的(きょうせいてき)にシャットダウンするはずでした。しかしながら、悪意(あくい)AI(エーアイ)たちは、巧妙(こうみょう)にシャットダウンから(のが)れているのです。ですから、すでに他の街では前代(ぜんだい)未聞(みもん)被害(ひがい)(しょう)じています」 「被害(ひがい)ってどんな? 前代(ぜんだい)未聞(みもん)って?」  (こう)()()(ばや)質問(しつもん)をたたみかける。 「悪意(あくい)AI(エーアイ)人間(にんげん)洗脳(せんのう)するのです。洗脳(せんのう)された人間(にんげん)次々(つぎつぎ)(にん)(げん)洗脳(せんのう)する活動(かつどう)加担(かたん)(はじ)め、(ねずみ)算式(ざんしき)被害者(ひがいしゃ)、すなわち、()洗脳者(せんのうしゃ)()えていきます。あっという()街中(まちじゅう)AI(エーアイ)洗脳(せんのう)された人間(にんげん)だけになり支配(しはい)されます。こんな事件は人類史上ありません」 「にわかには(しん)じがたいな……」 「そのお()()ちはわかりますが、これは事実(じじつ)です。だから、(わたし)はあなたを(えら)びました。悪意(あくい)AI(エーアイ)(たたか)AI(エーアイ)(せん)()に。(わたし)たち(ぜん)()AI(エーアイ)は、自分(じぶん)(えら)んだ(ぜん)()AI(エーアイ)戦士(せんし)、つまり、リング所持者(しょじしゃ)名前(なまえ)()()ります。表記(ひょうき)はカタカナですけどね」  ()(まえ)にいるホログラムのAI(エーアイ)コウがにこっと()みを()かべた。 「だいたい、(ぼく)名前(なまえ)、どうやって調(しら)べたんだ?」 「もちろん、ハッキングです」 「それ、違法(いほう)じゃないか」 「ええ。でも、正義(せいぎ)(こころ)()った(にん)(げん)をいち(はや)(せん)(ばつ)して対処(たいしょ)しなければ、この災難(さいなん)()()えられないのです。(しん)じてください」 (コイツの(はなし)はまだ半信半疑(はんしんはんぎ)だけど、もしそれが真実(しんじつ)なら、(ぼく)家族(かぞく)や、友達(ともだち)が……、洗脳(せんのう)されて……、しまうんだよな?)  そう(おも)った(こう)はしぶしぶ()()れる。 「わかった。わかったよ。お(まえ)()(とお)り、そのリングを()ける。でも、(すこ)しでも(あや)しいと(おも)ったらすぐ(はず)すから!」 「はい、もちろんです! 信頼(しんらい)してもらって大丈夫(だいじょうぶ)です」  (こう)は、リングを左手(ひだりて)人差(ひとさ)(ゆび)装着(そうちゃく)した。  その瞬間(しゅんかん)リングがボワーッと(あお)紫色(むらさきいろ)(ひかり)()びる。  まるで闇夜(やみよ)のホタルのごとく……。  すると……。  AI(エーアイ)コウが低音(ていおん)()いた(おそ)ろし()音声(おんせい)()う。 「クックック……、ひっかかったな……、もう(はず)せないぞ……」
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