第5話 取説

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第5話 取説

「では、(いま)から説明(せつめい)させていただきます」  (こう)はふてくされた(かお)(だま)っている。 「まず、このリングには電源(でんげん)のオン・オフはありません。常時(じょうじ)起動(きどう)しています。ボタンのうち、(あお)(むらさき)(いろ)(ひか)っているボタンをタップするか、『アジョン』と(くち)にすると、この(わたし)(いま)のようにホログラムで出現(しゅつげん)します。このホログラムはリング(しょ)()(しゃ)の『(だい)()(にん)』という()()で『アジョン』といいます」 「ふむ……、たしか、代理人(だいりにん)ってエージェントと()うんじゃなかったっけ? (なに)かの映画(えいが)()()(おく)があるけど……」 「英語(えいご)ではそうなりますね。アジョンはフランス()です。(はなし)(もど)しますね。(てき)(たたか)うバトルフィールド(がい)では、(いま)のように自分(じぶん)とは(べつ)実体(じったい)のように()たり、(はな)したりできますが、バトルが(はじ)まると、リング所持者(しょじしゃ)(どう)()します。(どう)()すると、()(ぶん)(からだ)(うご)かすようにアジョンを(うご)かせます。ですが……、(ほか)のアジョンなどの(てき)(こう)(げき)する()(あい)は、『スキル(めい)』を発声(はっせい)しなければなりません」 「バーチャルリアリティゲームによくある(かたち)だね。でも、発声(はっせい)しないと一切(いっさい)(わざ)()せない()(よう)旧式(きゅうしき)のゲームでも()かったよ?」 「はい、これもAI(エーアイ)(せい)(ぎょ)(ほう)から(しょう)じる制約(せいやく)になります。AI(エーアイ)自体(じたい)直接(ちょくせつ)人間(にんげん)攻撃(こうげき)していなくても、人間(にんげん)危害(きがい)(くわ)えているのと同視(どうし)される場合(ばあい)は、中央(ちゅうおう)政府(せいふ)のシステムにより強制的(きょうせいてき)にシャットダウンされます。だから、リング所持者(しょじしゃ)である(ひと)命令(めいれい)しないと、アジョンは攻撃(こうげき)できない仕様(しよう)になっています。(いま)みたいに人工(じんこう)知能(ちのう)として会話(かいわ)十分(じゅうぶん)できますけどね」 「なるほど。ややこしいけど……、人間(にんげん)AI(エーアイ)へ、または人間(にんげん)人間(にんげん)攻撃(こうげき)している(かたち)になればオーケーってことだね」 「そうです。さすが(こう)さん。()()みが(はや)いですね。(せつ)(めい)(つづ)けますよ。リング所持者(しょじしゃ)は、レベルに(おう)じた(つよ)さの(わざ)『スキル』を発動(はつどう)させて攻撃(こうげき)することができます。たとえば、(ほのお)属性(ぞくせい)(こう)さんなら、『テヲヤク(()()く)』と(こえ)()して()えば、その意味(いみ)にちなんだ(ほのお)属性(ぞくせい)のスキルが発動(はつどう)します」 「意味にちなんだスキルになるんだ……、マジか……」 「はい。初期値(しょきち)(こう)さんでも、(ほか)に、『――』とか、『――』などのスキルもありますよ」
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