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のんびりと歩きながら、集落をぐるりと回る。最初は女子同士、男子同士でお喋りをしながら歩いていたものの、気が付くと、それぞれのパートナーと肩を並べていた。
さくさくと歩いていく遥と篠崎君。実穂と横田君は風景よりも、会話を楽しんでいるようだ。私と颯手は2組の様子を眺めながら、最後尾をゆっくりと歩いていた。
(せっかく4人ともいい雰囲気だから、邪魔したくないしね)
それに、今日はずっと6人一緒だったので、あまり颯手と話をしていない。
横を歩く颯手にちらりと視線を向けると、颯手もこちらを向いていた。目と目が合い、颯手がにこりと微笑む。その視線に気恥ずかしくなり、私はパッと目を逸らした。
「どうしたん?杏奈」
(今日はあまり喋っていないから寂しかった、なんて言えない……)
「毎日一緒にいるやん。今更どうしたん?」と呆れられてしまいそうで、私は「なんでもない」と手を振った。すると、
「2人きりやないから、寂しい?」
耳元で甘く囁かれて、ドキッとした。
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