(1)トリプルデート

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「こちら側にも庭があるんやね」  和室の縁側から外を見ている颯手のそばに近づいてみると、和室側の庭は広く、バーベキューコンロが置いてあった。 「晩ご飯はバーベキューの予定なの。遥が予約しておいてくれたんだよ」 「そういえば、さっき宿の人が『今夜の食材は冷蔵庫に用意してあります』て言うてはったね。楽しみやね」  私が教えると、颯手はそう言って微笑んだ。  リノベーションされた宿は快適で、私たちは夕刻までのんびりと過ごした後、バーベキューの準備に入った。  やはり料理となるとカフェオーナーの颯手の手際が良く、さくさくと野菜を切って、皿に盛り付けてくれる。学生男子2人は、バーベキューコンロに火をおこすのに四苦八苦し、女子3人はそれを応援しながら食器の用意をした。  ようやくコンロに火が点き、バーベキューが始まった。まずは肉ということで、横田君がどんどん焼いてくれる。どうやら彼は、鍋奉行ならぬ、バーベキュー奉行のようだ。 「もう、これ焼けてるよ」  横田君が差し示した牛肉を皆がお皿に取り「いただきまーす」と言って口に運ぶ。 「おいしー!」  牛肉を頬張った遥が満面の笑みを浮かべた。 「本当だね。いいお肉なのかな」  実穂も嬉しそうに食べている。 「あ、ほんと、柔らかい」  私も牛肉を口に運んでみると、簡単に噛み切れて、食べやすかった。
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