(1)トリプルデート

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 実は私と篠崎君が顔を合わせるのは、今日で2回目。先月、(かけい)君という私や遥と同じ大学の同級生が主催した合コンで、初めて会った。その時の印象は、寡黙で女の子に興味がなさそうな男子、という感じだったのに、その後、私と筧君がなんだかんだと揉めている間に、遥は篠崎君と交際することになったらしい。付き合い始めてまだひと月の彼らは、ラブラブ期真っただ中なのだろう。  ちなみに、私たちの関係をもう少し詳しく説明するなら、私と遥と実穂は高校時代からの同級生で、今は同じ大学に通う3回生。実穂の彼氏の横田君も同じ高校だが、私たちとは違う大学に通っている。篠崎君も違う大学だ。  颯手は社会人で『Cafe Path』というカフェを経営している。  男性3人は、今日が初対面だ。 「外は暑いね」  実穂が手でパタパタと顔を扇いでいる。9月も下旬とはいえ、今日は夏のように気温が高い。 「実穂。日傘」  車の中から出てきた横田君が、実穂の頭に日傘をさしかけた。 「ありがとう」  実穂が日傘を受け取り、にこっと笑う。  全員が車を降りたところで、篠崎君がキーをロックした。 「行きましょ」  先導するように歩き出した遥・篠崎君カップルの後に、続いて歩く。
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