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和室に戻り、颯手とお風呂を交代する。誉はいつの間に用意をしていたのか、ビールを飲んでいた。
(誉、元気だなぁ。疲れてないのかな?)
「後で颯手も飲むと言っていたが、杏奈も飲むか?」と聞かれたが、わたしは首を横に振った。今はそれよりも眠い。
従兄たちが和室で打ち上げをするようだったので、わたしはベッドのある寝室へと移動した。掛布団をめくり、潜り込む。頭をのせた枕は柔らかく、清潔なカバーが気持ち良かった。
すぐにうとうとしてきて、わたしは目を閉じた。すうっと眠りに引き込まれ――。
どれぐらい時間が経ったのか、髪を撫でられている感触があり、ふと目を覚ますと、
「杏奈?かんにん。起こしてしもた?」
優しい声で名前を呼ばれた。
「颯手……?」
目の前に、愛しい夫の顔がある。彼はわたしの髪から手を放すと、頬に触れた。
「少しうなされてたで。怖い夢でも見たん?」
「夢……?」
何か悲しい夢を見ていたような気がしたが、それは目を覚ましたと同時に忘れてしまった。
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