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私と杏奈と実穂は、中高一貫教育の学校に通っていた。とはいっても、私は高校から入学した外部生で、入学当初、既にグループの出来上がっているクラスに馴染めず、１人ですごしていることが多かった。そんな時に話しかけてきたのが杏奈だった。
えらく綺麗な子が話しかけてきたと思って、最初はびっくりしたが、杏奈は気さくで、私たちはあっという間に仲良くなった。
杏奈は、とにかくモテた。大人っぽくて綺麗なのに気取ったところがない。たくさんの男子から告白を受けていたが、杏奈は誰１人、ＯＫを出さなかった。
実は、それらの男子の中に、私が「いいな」と思っていた男子がいて、彼が杏奈に告白をしたと知った時は話をすることが出来なくなるぐらいショックだった。
一方的に無視するようになった私に、杏奈は真っすぐな瞳で「わたし、何か遥を怒らせたのかな。ごめんなさい」と謝ってきた。そんな杏奈を見たら、彼女が悪いわけではないのに無視をしている小さな自分に対して腹が立ってきて、「杏奈に負けてたまるか」と、内面も外見も自分磨きに精を出すようになった。そうし始めたら吹っ切れて、私は失恋したことを誰にも話さず、杏奈との友情を大切にしようと心に決めた。
「杏奈って、誰とも付き合う気ないのかしら」
あまりにも杏奈が男子を袖にするので、中学時代から仲のいい実穂に尋ねてみたことがある。すると実穂は、
「杏奈ちゃん、彼氏いるしね。秘密にしてるみたいだけど」
とこっそりと教えてくれた。
俄然興味が出て、
「どんな人？」
と聞いてみたら、
「年上っぽいけど、詳しくは教えてくれないんだ」
との回答が返ってきた。
その後、私も直接、杏奈に聞いてみたが、「一応、いるけど……あまり聞かないで。恥ずかしいから」と誤魔化されてしまった。
聞かないでと言われるとそれ以上つっこめなくて、杏奈の彼氏がどんな人なのか分からないまま、私たちは大学生になった。その間、杏奈はその人と交際を続けているようだった。
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