2.【番外編】一宮杏奈という女の子

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 大学3回生になった4月のある日。私と実穂は杏奈に呼び出された。そして、あらたまった様子で、 「あのね……わたし、結婚したんだ」 と告白され、仰天した。 「ええっ!ど、どういうこと?誰と?」 「杏奈ちゃん、結婚したの!つきあってるって言ってた人と?」  動転している私たちに杏奈がもじもじと、 「……12歳年上の従兄と」 と言った時の衝撃は忘れられない。   それから後日、私と実穂は杏奈のダンナが経営しているというカフェに招待されて、颯手さんを紹介された。颯手さんに会って、私は杏奈がいつも綺麗な理由が分かったと思った。 (杏奈はこの人と釣り合う自分になるために、努力してたんだ)  そう気づいたら、健気な杏奈のことが可愛くなり、私はますます彼女が好きになった。  颯手さんはいい人だ。彼を見ていると、杏奈をとても大切にしていることが伝わって来る。今回の旅行で、それがよく分かった。
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