2.【番外編】一宮杏奈という女の子

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 私が杏奈と颯手さんの様子を眺めている間に、実穂は化粧水を手に取り、お会計に行ってしまった。 「結婚かぁ……」  思わずぽつりとつぶやいたら、 「結婚がどうしたって?」 ふいに後ろから声をかけられた。驚いて振り向くと、いつの間にそばに来ていたのか、篠崎君が立っていた。 「杏奈と颯手さんを見ていたの。仲がいいなって思って。お互いに想い合ってるのが伝わって来る。あんな夫婦になれたら素敵ね」  そう言ったら、篠崎君は、右手の人差し指でメガネのブリッジをくいっと上げた。そして私の目を見つめると、 「じゃあ、してみる?」 と言った。 「えっ?」 「俺と結婚してみる?」 「……はい?」  私は思わず間抜けな声を上げた。――今、プロポーズされた気がする。
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