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他愛ない話をしながら大通りまで出て、四条河原町行きのバスに乗る。ちょうど一番後ろの席が空いていたので、3人、横並びに座った。
「見て!今日、行きたいって言っていたお店って、ここよ」
遥がバッグからスマホを取り出し、液晶画面をタップして、わたしの方へ差し出した。今日は、遥が以前から目を付けていたというカフェに、パフェを食べに行くことになっている。
「どれどれ……」
スマホを借りて見てみると、SNSアプリが起動されていて、桃のパフェの写真が写っていた。
「すごいわね、このパフェ!」
わたしは遥が見せてくれた桃パフェの写真を見て目を丸くした。パフェグラスの上に、桃が丸ごと、どーんとのせられている。
「美味しそうでしょ?」
「うん、美味しそう!」
ジューシーな桃の味を想像しながら頷くと、遥は得意げに、
「最近、このnanaって人のSNSの投稿、よくチェックしてるの。カフェ巡りが趣味なんだって。美味しそうなスイーツの写真がいっぱいアップされてるのよ」
と、写真をスライドさせた。すると、桃パフェだけではなく、可愛いプリンアラモードや、美しくデコレーションされたショートケーキ、どこかのホテルのアフタヌーンティーセットなどの写真が現れた。それらの間に、本人なのか、おしゃれな女性の写真もアップされている。
「この人がnanaさん?」
「たぶんね。年上だと思うけど、綺麗な人よね。時々、彼氏の話とかも出てきたりするの。彼氏、同じ会社の同僚なんだって」
「へえ……」
こういったSNSにプライベートをアップするのはどうなのだろうと、わたしは疑問に思ったが、気にしない人は気にしないのかもしれない。
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