京都桜小径の喫茶店～美しき里のあやかし～

（１）スイーツと昔の女性

　目的のカフェで桃パフェを美味しくいただいた後、わたしと遥と実穂は、軽くウインドウショッピングをしてから別れた。

　わたしは、再びバスに乗り込み、自宅のある北白川に向かった。バスの中で、手持ち無沙汰にSNSを開き、フォローしたばかりのnanaさんの投稿を見ていると、

「あれっ？新しい写真が増えてる」

先程、遥と実穂と見ていた時にはなかった写真がアップされていて、目を瞬いた。

　新しい投稿は、半分に割られたチョコレートケーキの中から、とろりとチョコレートソースが流れ出している、美味しそうなフォンダンショコラの写真だった。白い皿に、ベリーのソースで模様が描かれている。美しいデコレーションと皿の模様に見覚えがあり、わたしは「あっ」と声を上げた。

（これ『Cafe Path』のフォンダンショコラだ……！）

　よく見ると、「#Cafe Path」「#哲学の道」「#ケーキ」「#店員イケメン」などのハッシュタグが付けられている。投稿時間は2時間前だ。

（この人、もしかして今日『Cafe Path』に来たのかな？帰ったら颯手に聞いてみよう）

　記事の内容は「カフェもおしゃれで、ケーキも美味しくて最高」というものだったので、わたしは気を良くし、思わず１人で、にまにまと笑ってしまった。