京都桜小径の喫茶店～美しき里のあやかし～

（１）スイーツと昔の女性

　その日の夜、晩ご飯が終わり、リビングでくつろいでいる時に、わたしは今日、若い女性が『Cafe Path』に来なかったかと颯手に尋ねてみた。

「若い女性？何人か来たはったけど……。それがどないしたん？」

　不思議そうな顔をした颯手のそばに近寄り、わたしは、

「今日、SNSで『Cafe Path』のケーキの写真がアップされているのを見つけたの」

とスマホを差し出した。

「あ、これ、うちのフォンダンショコラの写真やね。美味しいて書いてくれてはる。嬉しいわ」

　SNSを見て喜んでいる颯手に、

「この人なんだけどね……」

と、nanaさんの自撮り写真を見せると、

「なんや、このアカウント、この人のなんや。来はったよ」

颯手はどこか拍子抜けしたようにそう言った。