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いきなり、あっさりとした反応に変わってしまった颯手を不思議に思い、
「もしかして、このアカウントのこと知ってたの?」
と尋ねると、
「この人、僕の知り合いやねん」
意外な答えが返ってきてびっくりした。
「知り合い?」
「うん。僕、『Cafe Path』を開く前はイタリア料理店で働いてたんやけど、その時の後輩や。桐谷なずなさんっていうんよ」
「えっ、そうなの?じゃあ、この人、颯手のお店だって知っていて、『Cafe Path』に来たの?」
知り合いの店だから、こんなに褒めてくれたのだろうか。すると、颯手は首を振り、
「そういうわけやなかったみたい。うちに来たのは、たまたまやて言うてた。カフェ巡りが趣味で、京都中のカフェを巡ってはるらしいわ」
と言った。
「そうなのね」
「久しぶりに会うて懐かしかったわ」
嬉しそうに微笑んだ颯手を見て、ふいに疑念がわいた。
颯手が『Cafe Path』を開く前というと、私がまだイギリスに住んでいて、日本に帰ってくる前だ。その頃の颯手がどんな風だったのか、わたしは詳しくは知らない。
(恋人とか……いたりしたのかな。もしかして、この人と付き合ってたとか……)
なずなさんの自撮り写真を見て、急に嫉妬心が湧いた。
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