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「杏奈が嫉妬してくれるなんて、嬉しいわ」
面白そうな顔をして笑った颯手を見て、早とちりした自分が恥ずかしくなり、慌てて、
「し、してないっ」
と否定すると、
「嘘。してた」
と断言されてしまった。
「……してないもの……」
視線を泳がせながら、もう一度、否定する。すると、
「嘘を言う子はおしおき」
と、唇を塞がれてしまった。
「んっ……」
甘いおしおきに抵抗出来ず、力が抜けていく。
そのまま、ソファーの上に押し倒されて、体のあちこちに何度もキスをされ、わたしはさすがに、
「ま、待って……!」
と声を上げた。
「ん?」
「まだ、お風呂に入ってない……から……」
小さな声でそう言ったら、颯手は、ぱちりと目を瞬いた後、吹き出した。
「かんにん。杏奈が可愛かったから、つい。ほんならお風呂に入ってき。今日は夜更かししよ?」
颯手に解放されて体を起こしたら、額に優しく口づけられた。わたしは乱れた服を整えると、火照った顔で「うん」と頷いた。
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