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カウンターのそばで待機していると、颯手が近づいてきて、
「杏奈、ケーキセットの注文が入ったから、カトラリーをお客様へお出ししておいてくれる?」
と言った。
「分かったわ」
わたしは、フォークとナイフを籠に入れて準備をすると、トレイに載せて、女性客の方へと近づいて行った。「失礼します」と言ってテーブルにカトラリーの入った籠を置くと、
「…………」
やけに視線を感じ、わたしは顔を上げた。パチッと、女性客と目と目が合う。彼女はなぜか、わたしの顔をまじまじと見つめていた。
「……?」
何か顔についているのだろうかと思ったが、一礼してテーブルから離れた。
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