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「縁側ってほっこりする」
足をぶらぶらさせながら実穂がそう言ったので、私も「うん」と頷いた。小さい頃、おばあちゃんと一緒に住んでいた家には縁側があったので、懐かしい気持ちになる。
「私の家、建て売りの普通の住宅だから、縁側ってないのよね。こういうところで、ゴロゴロしたら気持ちいいんでしょうね」
遥が憧れるように言うと、実穂が、
「うん。気持ちいいよ。私、田舎のおばあちゃんちが古いから、縁側あったんだ」
と笑顔を浮かべた。
「おばあちゃんち、猫もいたから、猫と一緒にまったりしてたの」
「猫がいたの?いいわね」
私がそう言うと、
「杏奈ちゃんは、犬を飼ってたよね?」
と実穂に問いかけられた。
「……実家にいた時にね」
私は曖昧に微笑んだ。私は、確かに実家で犬を飼っていた。ウィンドという名前のミニチュアダックスフントだ。いつも一緒にいたウィンドを、結婚後も新居に連れて行こうとしたのだが、なぜか颯手との相性が悪く、ウィンドが喧嘩をふっかけてしまうので、可哀想だが諦めて置いて来た。
(でもまあ……ウィンドは呼べばいつでも来るしね)
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