(1)スイーツと昔の女性

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 なずなさんはカップをテーブルに戻すと、両手を組んでくるくると指を回した。 「結婚っていいですよね。私、一戸建てに一人暮らしだから、寂しくて。誰か一緒にいてくれる人がいればいいのになぁ、って思います」  ふふっと笑ったなずなさんに、颯手が、 「もしかして、まだ、おばあさんの家にひとりで住んでるん?」 と問いかけると、なずなさんは、 「はい。住んでますよ。大学を卒業したら滋賀の実家に帰ろうかとも思ったんですけど、就職先が京都に決まったから、そのまま住み続けることにしました。家って誰も住んでいないとすぐに傷むっていいますし、父親からも『好きなだけ住めばいい』って言われてます」 と説明をした。
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