(2)嫉妬と疑いと

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 玄関まで行き「お帰りなさい」と言って出迎えると、「ただいま」と微笑みが返ってくる。  靴を脱いで廊下に上がった颯手と一緒にリビングに戻ると、わたしは2人分の紅茶を入れてソファーに座った。 「おおきに、杏奈」 「ねえ……なずなさんのお話、なんだったの?」  わたしは、ティーカップを手に取った颯手に尋ねた。彼氏とうまくいっていないという話だろうなと予想はしていたが、颯手の口からも聞いておきたかった。すると、颯手は、 「彼氏とうまくいってへんねんて。相手の人、会社の同僚らしいけど、仕事ができる人で忙しいらしいわ。2人きりで会えへんから寂しいて言うてはったわ」 と難しい顔をした。 「ラインが既読にならないとか、家に行っても留守とかでしょう?」  そう言うと、颯手は、 「杏奈、なんで分かったん?」 と驚いた顔をした。わたしはスマホを手に取りSNSのアプリを開くと、なずなさんの投稿を颯手に見せた。 「ああ、こっちでも愚痴ってはったんやね」  颯手は苦笑した後、 「相手の人、連絡ぐらいしてあげはったらええのにね」 同情するように言って、紅茶に口をつけた。 *  
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