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飼い犬のことを思い出していると、
「へえ、一宮さん、犬を飼ってたのか」
私たちの話が聞こえたのか、篠崎君が興味をひかれた様子で声をかけてきた。
「うん。ミニチュアダックスフント。もしかして、篠崎君も犬飼ってるの?」
「ああ。家に豆柴がいる」
「豆柴?うわ、俺、豆柴、めっちゃ好きなんだ。写真ある?」
意外にも横田君が話題に食いつき、篠崎君の方へ身を乗り出した。篠崎君が「ある。ちょっと待って」と言ってスマホを取り出したので、皆、興味津々で篠崎君のそばに集まった。
篠崎君がスマホを操作し差し出すと、そこにはコロコロとした子犬の豆柴の写真が写っていて、
「何これ、めっちゃ可愛い~!」
「キュンキュンする!」
「ていうか、可愛すぎて死ぬ!」
遥と実穂、横田君が悶えた。
3人の様子を見て、篠崎君が唇の端を上げた。飼い犬を褒められて嬉しそうだ。
「犬って、まだ子犬だったんだ」
「ああ。先月うちに来たばかり」
「それやったら、可愛い盛りやね」
私と颯手が篠崎君と話している横で、遥、実穂、横田君の3人が、スマホを取り合うようにして豆柴の写真を見ている。
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