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私たちが騒いでいると、
「お待たせしました」
ソフトクリームが6つ運ばれてきた。コーンに入ったソフトクリームはスタンドに立てられていて、表面がつやつやと光っている。早く食べないと、溶けてしまいそうだ。
「いただきます」
「いただきまーす」
私たちはスタンドからソフトクリームを取り上げると、口に運んだ。
ミルクの優しい甘さが口の中に広がり、冷たさで、火照った体がすうっと冷える。
夢中になって食べていたら、颯手が、
「杏奈、鼻の頭にクリームがついてるで」
と、笑いながら取ってくれた。
「ありがとう……」
鼻に付けながら食べていたなんて、子供っぽくて恥ずかしいなと思っていると、私たちの様子を見ていた遥が、
「ねえねえ奥さん、こちらの奥さん、ご主人とラブラブですわよ」
と、実穂に耳打ちする真似をした。実穂も、笑いながら、
「本当ですわね、奥さん。ラブラブで羨ましいですわね」
と耳打ちを返し、奥さん同士ごっこをして遊んでいる。
「もうっ!何言ってるのよ、2人とも」
照れ臭くなって遥と実穂を睨んだら、2人は「あはは」と声を上げて笑った。
和気あいあいとソフトクリームを食べ、縁側で皆で写真を撮った後、再び、集落の中へと戻った。
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