4人が本棚に入れています
本棚に追加
星の降る星
毎晩、この星には星が降る。僕は、そんなこの星を好きになれなかった。それはまだ、お母さんが生きてた頃に教えてくれた、こんな会話を思い出すからだ……。
「ねえ、お母さん。なんで、毎晩お星さまが降るの?」
「それはね、遠いどこかの誰かが死んだ時、それが悲しくて泣いた、誰かの涙なんだよ」
「じゃあ、お父さんが死んだ時も、お星さまが降ったの?」
「そうだよ。それはもう、たくさんのお星さまが降ったのよ」
「そっか……もしも、またたくさんのお星さま降ったら、僕の傘にお母さんを入れてあげるね」
その後、お母さんは死んでしまって、僕は独りになった。とても、悲しくて空からはたくさんのお星さまが降った。それは、僕の傘では防げないくらいに、たくさんのお星さまが降ってきた。
でも、本当に悲しいのは、その後に待っていた。
今はもう、この星で星が降る事はない。
僕は、星が降らなくなったこの星が嫌いだ。
最初のコメントを投稿しよう!