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驍ェ逾樣が逾あらあら、アンちゃん、野良犬が調子に乗ってるわよ?驍ェ逾樣が逾
アンタレスティーナ嬢の加護である彼女の声は、不思議な聞こえ方をする
なんというか、臓物の中を言葉で出来た小さい蛇が何百匹と這いずるような不快感と氷に閉じ込められたような全身を襲う寒気…自分に向けられた言葉ですらないのに、だ。
見た目で言えばストレートロングのオニキスの黒髪に黒曜石の瞳、豊満な胸とスリムな肢体の美女…と言えなくもない
頭からゴツゴツとした禍々しい山羊の角が聳えたち、艶やかな黒髪は愛するアンタレスティーナ嬢に敵対する者に対しては瞬く間に蠢く触手と化しその命をゴミのように処分する
彼女にとっては一国の王太子である私の存在ですら、本気も本気で道端の砂つぶか或いはアリの群れのうちの一匹の意味しか持たない
唯一ちゃんと個体として認識されているアンタレスティーナ嬢が、平穏を望むからという理由で、畏れ多くも普段からあらゆることを抑えて頂いている。そう、彼女は私や父上や母上の顔も覚えていない。当然名前も。
だたし、王族だの不敬罪だの、そんな次元の話ではないのだ
彼女にとって私達はアリの群れに過ぎない
それでも、本来同じアリの一匹であるはずのアンタレスティーナ嬢だけは"思い入れ"によって友人たり得ている
咳払いや或いは瞬きで、この世界そのものを終わらせることができる存在。
アンタレスティーナ嬢が申し訳なさそうにやんわりと申告しただけで、本人から明確な説明を受けたわけではない、それでもそう確信できる
視界に入っただけで本能の警鐘が止まないのだから
胃薬の過剰摂取で私が壊れるのが先か
アンタレスティーナ嬢がこの世界を憎むきっかけが出来て、彼女以外が全て無に帰すのが先か…
幸い、アンタレスティーナ嬢は沢山の縁を持ち友人が豊富で、この世界を愛している
驍ェ逾樣が逾心配しなくてもアンちゃんが愛するこの世界を壊したりしないわよ〜驍ェ逾樣が
にっこり笑い、一応否定されておられるが安心などまったくできない
因みに精霊も妖精も彼女達がいる場所には絶対に姿を見せない。フーとて、彼女にとっては塵芥に過ぎないからだ
いや、パワーバランスどこいった
まあしかし、アンタレスティーナ嬢は実質的には本来国王である我が父上だって顎で使える立場にいるのに、どちらかと言えば下級貴族や平民にも優しい人徳者だ。
私も両親も、アンタレスティーナ嬢のご厚意で上の立場でいさせていただいているというなんとも訳の分からない状況だ
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