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「殿下、もう背後は考えずにわたくし達の人柄とか家柄で選ばれては如何ですか?」
「そんなわけにいくか!!」
レイカ・ニホンショーキ子爵令嬢。王妃候補の1人がウンザリと零したが、私は声を荒げて否定する。もう2人の候補が「食い気味に否定しましたわね」と笑う
3人は貴族の子女が通う学園の中庭でお茶会をしている。私達は同い年で、1年生だ。
嗚呼、頭がいたい
私はこの、女神フレアティア様がお創りなったレフトラという世界で2400年の歴史を誇るエメフィール王国の第一王子であり、去年立太子している
歳は16となる
そんな私の妻になるもしれない候補者は3人いる。
ヨグソートス公爵家令嬢、アンタレスティーナ・クトゥグア・ヨグソートス
銀髪にワインレッドの瞳の妖艶な美女だが、見た目に反してほんかわした令嬢だ。
ニホンショーキ子爵家令嬢、レイカ・オオクニヌシノミコト・ニホンショーキ
黒曜石の瞳にオニキスのような艶やかな黒髪の美少女だ。笑うと可愛いが無表情になるとめちゃくちゃ怖い。
ウロボロス男爵家令嬢、ティナ・ティンダロース・ウロボロス
赤褐色の髪と瞳にしなやかで引き締まった褐色の肌、所作はきちんと優雅なのだがなんとなく猛禽類を連想させる令嬢だ
アンタレスティーナ嬢は兎も角、何故下級貴族であるレイカ嬢やティナ嬢が王妃候補に名を連ねているのか疑問に思われるだろう
この世界、レフトラでは王族から平民まで誰でも、5歳になると人外の守護がつく
恋人や伴侶、家族とはまた別の、一生の相棒が決まるのだ
別に人間が一方的に世話になっているというわけではなく、ギブアンドテイクの関係なのだが今は詳細は省く
ところで。守護を人に与えてパートナーになってくれるのは9割は妖精だ
30センチほどの人形で羽根が生えており、大抵は可愛らしい少女の見た目だが美男子や愛嬌のあるぽっちゃりさんもいる。基本的に自由で気ままで、悪戯好きな一面も。
人間の爵位とは違うが、彼らの社会の格付けみたいなものがあり意外と人間的な身分制度も持つ存在だ。といっても礼儀作法とかはかなーり緩いが。
私に守護を下さったのは妖精王の娘であるフーだ。
残りの1割は精霊だ
自然と共にあり、世界と共にある彼等は力の強弱で上下関係を持つことは無い
んで。
王妃ともなると家柄や教養は勿論だが守護も選定に影響される。王も然り
私はフーが来てくれたから立太子が確定したようなものだ。第2王子である弟のところには水の精霊が来た。
精霊は心の清らかな者にしか守護を与えないため、第2王子派を作って傀儡にしようとした者どもは諦めた。将来的に弟と支え合っていけるのは嬉しい。元々仲もいいしな
ただ、王妃候補がいつまでもこの3人から決断できないのは、彼女達の守護が特殊だからだ……私はどうしたらいいんだ!!
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