年末のながれ星

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年末のながれ星

こどもたちは夜空を見上げて、目をかがやかせていた。 これからおこる天文ショーを楽しみにしている。 「もうすぐ星が、いっぱいふってくるね」 「夜なのに、お空が明るくかがやくね」 今日は、十二月のある日。 毎年この日の夜は、一年で一番多く、ながれ星があらわれる。 「あ、はじまった」 ながれ星がひとつ、キラリと光った。 そして、またひとつ、キラリ。 そして、またひとつ、ふたつ、キラリ、キラリ。 そして、またひとつ、ふたつ、みっつ……。 それからは、あっという間。 空は無数のながれ星でうめつくされ、うつくしくかがやいた。 こどもたちはキャッキャとよろこんだ。 その頃、宇宙では―― 「よくまあ、毎年毎年こんなにゴミがたまるもんだ」 「まったく年末の大掃除なんて、やってらんないよ」 「海もよごし、山もよごし、空気もよごして、しまいには宇宙までよごしつくすなんて、われわれ人間はどこまでよごせば気がすむのかね。まあ、そういうおれの家も散らかり放題だけどな」 「ともかく、多くの子どもたちがこの作業風景を楽しみにしているんだし、今年もがんばるか」 そんな通信が、宇宙空間にちらばった各清掃作業用ポッド間でとびかう。 そうして宇宙清掃スタッフたちは、手際よくスペースデブリを回収しては、次々に大気圏へと落としていった。
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