神に仕える 髪

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4、選択 部屋に入り、ぐるりと見まわした。 一面、本が棚に納まっている。 「こんなにあったんじゃ、選びきれないのう。そうじゃ、ダイスを使おう」 そう言った後、手のひらにサイコロ2個を乗せた。 それを、机の上でころがした。 「2と5だ。よし、25番の棚を見てみよう」とゼウス そして、25番棚の前に行き、一冊の書籍を取り出した。 「古事記」とある。 ページをめくりながら、、 「ほほう、ここにも神々がおるじゃないか。うん、うん」と うなずきながら、読み入っている。 「男衆の体格は、西洋人に比べると、こじんまりしてるようじゃ。 どう思う?」と尋ねられたので 「そうですね、背も低く、胸板も薄いですね。髪の色は、黒いんですね」 と答えた。 「確かに、闘技場じゃ、こんなに薄っぺらな胸のやつはおらん、 圧倒的に西洋人の勝ちじゃな」とゼウス 「それから、この剣も細いぞ。盾で受けたら、折れそうだ」 「そうですね。やっぱり、大きな剣だと重くて持てないんじゃないかと」 と私 「それじゃ、話にならんぞ」と言いながら、ゼウスは、目を走らせている。 「ふむふむ、なるほど、東洋にも女神がおるんじゃな」とぶつぶつ 言いながら、めずらしく集中している。 「ここは、面白そうだ。うん、うん」とうなずいている。 ページを読み進めていると、手が止まった。 「これは、美しい。西洋人とは違った美があるのう」と 関心している。 私も上から覗いていると、 「どうじゃ、なかなかの美人じゃろ」と 上目使いで話しかけてきた。 「そうですね。西洋人より、目が細いように見えるけど」と答えると 「甘いな、これは細いのではなく、切れ長と言うんじゃ」 「へえ、そうなんですね。これが、普通なんですね」 「この目元は、意志の強さを感じる。おちるまでは、手ごわいやも知れん。心して掛からねば」 「また、ゼウス様、愛人を作ろうとしてますね」 「いやいや、初めから愛人を作ろうとした事はないぞ。気が合った 結果が、たまたまそう言う事なのだ」 「また調子の良い事いってると、浮気がばれて、痛い目にあいますよ」 「だから、世直しに出かけるといっておるじゃろ。あくまで、神助け、 人助けじゃ」 「まあ、そう言う事にしておきますよ。こっちもとばっちりくったら、 かないませんからね」
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