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5、 行き先決定
「良し、ここが面白そうだから、ここに決めた。大和の国じゃ」
「やっぱりね、切れ長の目がお気に入りだったもんね」
「何を言っとるんじゃ、その様な邪な考えはないぞ」
「ゼウス様からそれを除いたら、宇宙の平和は、もっと もっと近いものに
なるでしょう」
「わしは、何に対してもまじめに取り組んでおる。たまたま、女神達と
知り合いが多いだけなのじゃ」
「たまたまね、たまたまにしては、多すぎる気がしますが」
「わしは、もう決めたのじゃ、大和の国に」
「ヘラ様は、お許しになられますか? 長期出張を」
「これは、世直しじゃ、わしの仕事なんじゃ、わしは、宇宙神じゃ、
極東だろうと、行かねばならぬのだ」
と胸を張った。
「おーおー、言ってくれますね、そんなに、張り切っちゃって」
「出張届も書いておる、あとはここにサインをもらうだけだ。ちなみに、
大和の国ではハンコだそうだ」
「何ですか? そのハンコって」
「知らんじゃろ、 ふ ふ ふ、」
「なに、その勝ち誇った笑い方、気色悪い」
「教えてやろう、これがハンコじゃ」と 私に見せた。
「よいか、ハンコとは動物の角とか、木材に名前を彫るのじゃ。
それに朱肉をつけてと」
と言いながら、紙に押し当てた。
「そうすると、こんな感じじゃ」と、得意げに私に見せた。
それは、赤い色に「ゼウス」と押されている。
「な、面白いじゃろ」
「なるほど、そのハンコを押せば、本人が承諾した事になるんだね。
でも、ゼウス様、自分以外の者でも押せるよね」
「だから、とっても大事なものなのじゃ。貸し借りや、持ち歩いて、
落としたりしてはならぬのじゃ」
「たしかに、たしかに」
「よし、また、ダイスを投げてと」と言いながら、転がした。
「今度は、56番か」と、違う棚にある書物を引き抜いた。
「ほほう、おもしろいのう。ここ、見てごらん」と指差した。
「なんですか、これ、うん、うん、何だかわからないけど、は、は、は」
と、思わず笑った。
私達は、その後も色々な書物を読み漁った。
二人は、時の経つのも忘れ、2千年ぶり位に勉強したのだった。
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