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6、出張先は、大和の国
旅支度をしている二人。
「ゼウス様、ヘラ様は、何ですんなり行かせてくれたんですか?」
「それは、普段の心掛けじゃよ」
「そんな訳ないでしょ、絶対」
「だよね。実は、土産を約束させられたんじゃ」
「お土産ですか?」
「そう、めずらしい首飾りをプレゼントする約束じゃ」
「なるほど、なるほど、ヘラ様らしいですね」
「忘れると、大変な事になるので、おまえも忘れないように頼む」
「そうですね。了解です。私も、とばっちりくったら、かないませんからね」
そしてゼウスは、鏡の前に立った。
「大和の国に降り立つには、図書館で見た格好にしなけりゃならん」
「はい、はい、あれですね」
「そうじゃ、和人の正装じゃ」と言った後、右手に持っている杖を高く
かざした。
そして、
「変身」と力強く叫んだ。
ゼウスの体は、雲に包まれた。
そして、雲が晴れると、髪の毛は黒く、腰には剣、着ているものは、
和人の衣をまとった人物が現れた。
しかも、二人いる。
「どうじゃ、はっ、はっ、はっ」
「え、なんで分身したの?」と私が言うと
「もう、忘れたか。東洋人は、西洋人と比べると背も低く、胸板も
薄いので、別れて丁度いいのじゃ」
「そういう事ですか、納得、納得」
「おまえも、名前がないとおかしいので、そうだな、・・・・・・
セントノ尊としよう」
「セントノ尊 なんか、聞きなれない名前」
「わしは、ゼウスノ神じゃ」
「そのまんまじゃん」
「よし、これで全て完了じゃ。雲タクシーを呼んでくれ、セントノ尊」
「了解しました。ゼウスノ神」
そして、私達は天空の宮殿から雲タクシーに乗り、大和の国を目指した。
しばらく、時間がかかるので、私は用意したお菓子を取り出した。
髪の時は、お腹が空かないのに、人物に変身すると何かつまみたくなるのは、不思議だ。
そうすると、寝ていると思っていたゼウスがこっちを向いた。
「それ、何よ。自分だけずるいんじゃないの。ちょうだいよ」
「ゼウス様、寝てたじゃない。それに、自分の持ってこなかったの?」
「寝てなんかいない、大和の国の事をかんがえていたんじゃ」
「え、だって、寝息聞こえてたよ」
「先は長いんだから、持ちつ持たれつ」と言いながら、お菓子に手を
伸ばしてきた。
「まったく、しょうがないなあ」と、あきれた。
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