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7、大和の国 到着
私達は、そうこうしているうちに、大和の国に到着した。
大和の国は、暗かった。
「暗いから、夜なのかな」と私は言った。
「そうでもないようじゃ、月も星も見えん」と、ゼウス。
そう、話をしながら歩いて行くと、暗がりの先に灯りが見えた。
そこには、八百万の神々が集っていた。神々は、皆 うかない顔を
していた。
二人は、その中に入って行った。
「何か、困り事でも・・・・・・」と、私は近くの長老に尋ねた。
すると
「見かけぬ顔だが、どこぞのお方かな」と言われたので
「隣の国から、旅をして来て、今しがたこの地に到着したところです」
と答えた。
「それは、それは、お疲れで。いつもなら、お茶でもお出しする
ところだが、何分、取り込んでおってな」
「ほほう、だいぶお困りの様じゃのう、差し支えなければ、聞かせて
もらえんか」とゼウス
長老は、ゆっくり話し始めた。
「大和の国は、光がふりそそぎ、穀物が良く育つ、それは、それは、
豊かな国じゃった。それは、天照大神さまのおかげなのじゃ。台地を
照らす太陽神とも云われておる様に、いつも、あたたかく、やわらかな
陽の光を、この大和の地に注いでくれていた。ところが、天照大神さまの
弟である、スサノオノ尊が、どうしようもない暴れん坊で、手が付けられ
ない輩であった。天照大神さまは、とても心を痛められ、あの天岩戸の
中に、お隠れになってしまったのじゃ」と、大きな岩山を指差した。
長老は続けて
「それからと云うもの、陽はあたらず、そのため、作物は育たず、病気も
流行り、大変な事になってしまったのじゃ」
「それは、一大事でござるな、して、神々は、何をしようとして
おるのかのう」とゼウス
「何とかして、天照大神さまに出てきてもらおうと、色々、催しを
考えており、これから始まるところなんじゃ」
と、不安そうな長老
「よし、それなら、わしらも一緒に、見学しよう」とゼウスは言った。
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