神に仕える 髪

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8、誘い出し作戦 そのⅠ  私達は、よく見えるように、神々の中に入って行った。  いよいよ、始まるようである。  ある人物が、鳥を持って岩戸の前に立った。  そして、  「各々方、この鳥は、孫女装子らの鳥ではない、大和の国 一番の長鳴鳥だ。この声を聞いて、必ずや出くると信ずる、 さあ、思う存分鳴くがよい」と、大きな声で自信たっぷりだ。  神々も、「おー!」と答え、期待している事が伺える。  それに答えて、長鳴鳥は、声を張り上げ鳴き始めた。 「コケコッコー ~~~~~~~~~~~~~~~~~~」 「さすが、大和一、いいぞ!!!」と囃し立てた。 岩戸の前のにぎやかな声は、中の天照大神さまに届いており、 天照も少し気になっていた。 天照大神さまは、 「あまりに身勝手な事ばっかりするから、頭にきて、引きこもった のに、なめんじゃないよ、その位で、出て行く分けないでしょ」と、 ふて寝している。 長鳴鳥は、見事な声で鳴き続けたが、岩戸が開く事は無かった。 先ほどまで、にぎやかだった神々も、しゅんとなってしまった。 「よし、では、次の催しじゃ」と声が上がった。 鮮やかな衣をまとった数人が、岩戸の前に現れた。笛と太鼓と 鈴の音に合わせ踊りを舞だした。 「ピーヒョロロ~、ピーヒョロロ~、ピーヒョロロ~、ドン、ドン、ジャン、ジャン、ジャン」 「ピーヒョロロ~、ピーヒョロロ~、ピーヒョロロ~、ドン、ドン、ジャン、ジャン、ジャン」 「ピーヒョロロ~、ピーヒョロロ~、ピーヒョロロ~、ドン、ドン、ジャン、ジャン、ジャン」 見ている神々も、拍手喝さいで、長鳴鳥の時以上に盛り上がっている。 一方、岩戸の中の天照さまは、 「あれ、さっき以上ににぎやかじゃない、お祭りは嫌いじゃないし、 見たいわ、ちょっとだけ、覗いてみようかしら、ダメ、ダメ、辛抱、辛抱」 と中を歩き回って、そわそわしている。 そして、 「やっぱり、ここで出たりしたら、お仕置きにならないわ、まだまだ」 と気持ちを抑えた。 岩戸の前の神々は、期待が大きかったのに出てこなかったので、その分、 落ち込みも深かった。 のぞき見位はするだろうと言う算段で、その隙間から顔をのぞかせて からの計画は立てていた。 顔をのぞかせたら、八咫鏡をかざし、知らない女神がいると思い込ませ、 触れようとして出した手を持って確保し、すき間の扉を、金剛力の持ち 主の神が、力ずくでこじ開ける手筈だった。 だが、一寸も開かないのではその後の計画も進行しないのだ。 神々は、腕組みをしながら考え込んでいた。
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