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9、誘い出し作戦 そのⅡ
「よし、わしらの出番じゃな」とゼウスは言うと、私を促しながら、
岩戸の前に進み出た。
「各々方、各々方、こっち 注目」とゼウス
「隣の国から参った、セントノ尊とゼウスノ神と申す」
「どうも~、セントノ尊、略してセントで~す」と、お辞儀をした。
お辞儀は、この国の挨拶と古事記にあったからだ。
「知らない名前だが、中々、礼儀正しいな」などと言っている声が
聞こえる。
「セントとゼウスで、セント・ゼウスで~す」と二人一緒にまた
お辞儀をした。
神々は、何をするのだろうと、疑心の目で私達を見ている。
そして、私が
「お笑いコント、そのⅠ」と言いながら、両手で屋根を作り、
家の形をなぞりながら、
「大和の国に家が建つ」と大きな声を出した。
「セントはどっから来たのじゃ」
「大和の隣だよ」
「じゃ、海老名かな」
「厚木だよ!」と切れ気味のセント
皆は、聞いたことの無い地名だが、小気味よいテンポに盛り上がっていた。
「お笑いコント、そのⅡ」 ゼウス 100%
「はい、それでは、まず、早着替えです」と私は言いながら、
ゼウスの前に、一枚の布を垂らした。
「はい、変身」と同時に布を取り去った。
そこには、蝶ネクタイのゼウスが、お盆一つで前を隠して立っていた。
皆は、その姿を見て、大笑い。
そして、お盆を押さえる手を左右に素早く入れ替えて
「ひやひやしたんじゃな~い」と皆を指差した。
皆は、吹き出すほど大笑いとなった。
調子に乗ったゼウスは、今度は、左回りにお盆を少しずつずらしながら、
あそこが見えない様に一回転した。
「さっきより、ひやひやしたんじゃな~い」と、又 皆を指差した。
岩戸の前は、セント・ゼウスのショーに割れんばかりの大拍手となった。
さきの踊りに使った、笛や太鼓も打ち鳴らしている。
「お笑いコント、そのⅢ」
幸田ゼウス コマネチハニー
「続いて、また、また、早着替えです」と私は言いながら、
ゼウスの前に、先ほどと同じように、一枚布を垂らした。
「はい、変身」と同時に布を取り去った。
今度は、腰骨あたりまでまくれている衣装のゼウス
私は、
「ミュージック、スタート」と言ったあと歌いだした。
「このごろ 気になる 女の子 おしりの 大きな 女の子
こっちを向いてよ ゼウス」
その曲にあわせて、ゼウスは大きく腰を振り、後ろを向いて、
さらに大きく、おしりを振った。
「わっは は、わっは は、わっは は、わっは は」と、見てる
神々は大爆笑だ
私は続けて、
「だって だって だって だってなんだもん」
調子に乗ったゼウスは、正面を向いて
「コマネチ、コマネチ」と言いながら、股間に両手の先をあわせ、
そのあと、30度 30度の角度で腰骨まで素早く引き上げた。
見てる神々も一緒になって
「コマネチ、コマネチ、コマネチ、コマネチ」の大合唱となった。
一方、岩戸の中では
「さっきより、すっごく盛り上がってるじゃない。いったい、
何やってるのかな」
そわそわしながら、自分に言い聞かせていた。
「ちょっとだけ のぞいて見ようかな、いや いや 我慢 我慢、
でも あまり我慢も美容に良くないし・・・・・・」
岩戸の中をぐるぐるしながら、
「相手を探るのも、一理あるわ、うん うん」と自分に
うなずいている。
結局、ちょっと岩戸を開き、外を眺めた。
私はそれに気づき
「ゼウス様、ちょっと開きましたよ」と耳打ちした。
「そうか、そうか、勉強の甲斐があったのう」
すぐさま、八咫鏡を差し出すと、予想と同じく天照の手が伸びてきた。
その手を、オモイカネノ神が握ろうとしたより早く、ゼウスが掴んでいた。
ここで、タジカラオノ命が岩戸をこじ開ける手筈になっている。
その金剛力で、正にこじ開けかけた時、ゼウスはスッと岩戸の中に入った。
そしてゼウスは、
「まだ、根本が解決しておらぬ、スサノオノ尊の件をどうすべきか、ここは、
一つ わしに任せてもらえんか、天照大神様と相談するので」と言った。
神々も
「そうだ、そうだ、その件が片付かないと、また 同じことだ」と言っている。
「それでは、お頼み申す」とタジカラオノ命は、力を緩めた。
ふたたび、岩戸は閉じられた。
さすがに説得力のある言い方で、言いくるめ、まんまと天照と二人になった。
私は、分身だから中の様子がわかる。
中では、ゼウス 100%になって、ワンマンショーをやっている。
天照も、顔を赤らめながら、注視している。
そのあと、お盆を外し ゼウス 1000%になった事も。
「あ ふ~ん」の声も私には聞こえた。
小一時間は立ったであろう。
岩戸は開かれ、二人は手をつないで現れた。
同時に、陽の光が降り注ぎ、一面 明るくなった。
「おー、おー、おー、おー」神々は、辺りを見渡しながら喜びを表している。
「して、スサノオノ尊の件は如何様になされた」と尋ねられた。
ゼウス様は
「天照と相談した結果、出雲の国に出る大蛇を退治させる事にした。
民は大変困っておるので、見事、退治出来たなら許してやる事で納得して
もらったのじゃ」と言った。
「それは、それは、良い事じゃ」と神々は拍手した。
「それでは、この天岩戸は必要無くなった」とタジカラオノ命は
扉を持ち上げ、長野の戸隠山方面に投げ飛ばした。
再び、
「おー、おー、おー、おー」と歓喜の声があがった。
これで、一件落着となり、私達は、大和の国を後にし、次の国に
向かう事にした。
思い出し笑いをして、浮かれた感じのゼウス様と一緒に。
ところで、ヘラ様との約束、忘れてるんじゃないの、知らないよ。
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