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「もう!エッチなんだから!」
マリーレは右足の先で眼立方体に蹴りを見舞ったが、その眼はそれをスルリと躱し彼女の右斜め下の空中にホバリングした。
「ハハハ、ゴメンよ...ところで真面目な話なんだが、どうもコロッサル・メタル・ソー(超巨大円鋸)の軌道が微妙に変わったようで、97日後には、この『バルローネ・シャンゲリス』に接触することになりそうだ」
眼立方体から発せられる言葉からはひしひしと緊張が伝わってきた。
「それ!・・・本当なの?!・・・何てこと!」
マリーレは腰を半分浮かし、前のめりになりながら眼立方体を睨み付けた。
「残念ながら本当だよ、マリーレ、直径2.1km、推定質量34億7700万トン、分速80cm」
いつの間にか彼女の右背後の空中にもう一つの眼立方体が到着し、ホバリングしながらコロッサル・メタル・ソー(超巨大円鋸)の情報を伝えてきた。
「そうなのね・・・」
マリーレは一気に意気消沈した様子であったが、自分を奮い立たせるように言葉を続けた。
「ところで、テオドール!今回のチャレンジャーの男のデータを見せてくれる?」
マリーレは膝を崩して右方向から後ろを振り向いて問いかけたので、彼女の太ももの間はもう少しだけ広げられることになった。
「おっと!...マリーレ、さらにいい感じだよ」
マリーレの右斜め下をホバリングする眼立方体がそう言うと、彼女の右背後の空中をホバリングしていた眼立方体が、マリーレの左前の空中に3Dの立体画像の投影を開始した。
「男の名前はカーイツ・ゲレンタン、真砂鉄王国フラゲルタンの庭園都市から来た箱庭猟兵だ。
フラゲルタンのキャレリリア姫は、反磁力魔帝マグダネ・トネロンの呪詛コードによって300年の眠りに入ってしまったらしい・・・彼女を早く目覚めさせないと、フラゲルタンとその住民は63日後には自然崩壊を開始してしまう・・・彼女を目覚めさせるために、我が空中都市の中心部にあるインフィニティ・コバルト・プラチナの結晶が必要不可欠なので、それで挑戦しに来たらしい」
背後の眼立方体の説明に、マリーレは3D画像の男の姿を見つつ、「フーン」と言った後付け加えた。
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