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「・・・で、私の映像を見て、あなたは楽しんでいるわけね?」
右斜め下をホバリングする眼立方体に向かってマリーレが言うと、ミニドロイドは、
「ああ、実に役得だね」
と答えた。
「もうっ!」
マリーレはミニドロイドに左手で軽くパンチを見舞ったが、ミニドロイドは一旦バラバラのキューブ状態になってパンチを回避すると、また、すぐに元のキューブ集合体の人型として復帰した。
「・・・まあ、いいわ!私もすぐに行くから!」
マリーレが左後方に体をひねるようにして一気に立ち上がると、彼女の開いた足の間を眼立方体が上方を見上げつつスィーッと通り抜けた。
「またぁ!!」
マリーレは右足の先でミニドロイドに蹴りをお見舞いし、ミニドロイドのキューブはまた一気に崩れたが、今度は再度集合することをせずに、そのまま階段の上に向かってキューブの集団で波状運動をしながら登っていった。
「お先に!マリーレ!」
キューブの集団となったミニドロイドはそう言い残した。
マリーレはチャレンジャーの男に対して若干の緊張を感じていたが、すぐにそれを打ち消すように、軽快なステップで階段を駆け上がり、円形広場の中央にある筒形の光子昇降機に乗り込むと一気に階下に下っていった───
(負ける訳にはいかない!)
マリーレはそう心に誓っていた。
エピソードⅠ --戦いの前奏曲-- End
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