エピソードⅦ リベンジとネゴシエーション section 2

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 テオドールはスリーピングポッドの隣に設置してある超仮想宇宙変換装置(バーチャルユニバースコンバータ)のシートに腰を下ろし、メタAIに超実行命令(ハイパーコード)を告げた。 「アルネラン・・・超仮想宇宙変換開始(ハイパーバーチャルブートストラップ)!」 「了解しました。テオドール」メタAIのアルネランが柔らかな女性の声で答える。  シートに深く腰を下ろしたテオドールの頭部、両腕、両足の先端の光神経軸索(オプチカルニューロン)コネクタに向かって白銀色の蛇のようなフレキシブルコードが伸びてカチリと接続された。 「超仮想宇宙突入(バーチャルユニバースログイン)!」  アンドロイドであるテオドールのメタニュートリノ脳に刻印されている人間だったときの彼のDNAパターンと大脳神経軸索網(ニューロンパターン)のメタ・アカウントによって、テオドールのメタ精神体は深淵なる超仮想宇宙空間へと進攻していった。 「第1層から第5層まで通過・・・第6層に入る」  テオドールの超実行命令(ハイパーコード)により、広大な第1層から第5層までの超仮想空間をスキップし、彼のメタ精神体は第6層の超仮想空間で疑似実体(アバター)化した。  そこは───メタ仮想環境創成───つまり、仮想空間の開拓がかなり進んでおり、柔らかな薄緑の草原で石灰岩の塊がそこかしこにある───いわゆるカルスト台地の風景となっていた。 「なるほど・・・やはり、これが魔帝マグダネ・トネロンの好みの景色なんだな・・・」  独り言の感想を述べたテオドールであったが、疑似実体(アバター)の身体で周囲を見回した。  疑似実体(アバター)といっても、現実世界(リアルワールド)での本当の肉体で感じるあらゆる感覚がナノレベルまで忠実に再現されており、現実世界(リアルワールド)との差異は全く感じられない───視覚、聴覚、臭覚、皮膚感覚、温度、湿度・・・あらゆるものがである。
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