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「俺も、大好きだよ」
俺は朱里の肩を抱き寄せた。
もう、触れることは出来ないと思っていた朱里が、ここにいる。
この感覚を、俺は忘れない。
「私ね、星になりたいな」
唐突に朱里が言ったので、俺は呆気にとられた。
「え?」
「星になれば、毎晩、あなたに会えるから」
バス停の灯りに反射してきらきら輝く瞳が、俺を見つめる。
俺はまた泣いてしまいそうで、何も言えなかった。
「うん、決めた。私、絶対星になる。それで、毎晩、会いに行くね。あなたから見て、一番輝いてる星が私だからね」
朱里は自身に言い聞かせるように言った。
「分かった。分かったよ」
俺は何度も頷いてみせる。
俺と朱里は、そのまま肩を寄せ合って空を見上げた。
空には、いろんな記憶が浮かんでは消えていく。
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