永遠

4/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
初めて出会ったのは、高校の入学式だった。 クラスごとの写真撮影のとき、隣に並んだのがきっかけだった。 「よろしくね」 いたずらっぽそうに瞳を輝かせる朱里に、俺の心は持っていかれた。 「こちらこそ」 応える声は、緊張で少し震えていたように思う。 そこから、同じ図書委員になったり、クラスで同じ班になったりと、接点が増えていくごとに、二人の距離も縮まっていった。 そしてかなりベタだけど、文化祭の後夜祭で、俺たちは付き合う事になった。 そこからは小さな喧嘩はあったものの、特に波風のたつこともなく、日々が過ぎて行った。 大学も同じところに進むことにして、二人の学力差を前に、俺が猛烈に受験勉強をしていたある日のことだった。 朱里が、倒れて病院に運ばれた。 「もう長くない」 その一言で、俺たちの未来は色を失った。 そこからは、病院がデートの場所になった。 だぶだぶになっていく病院着。 細くなっていく手足。 目を背けたかったが、背けないと決めた。 最期を看取るのは、俺だ。 俺じゃなきゃならない。 最期のとき、朱里は終始笑顔だった。 一生分の笑顔を、俺に遺そうとしているようだった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!