それでも私は無味魂

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余計な事を考えない様に、私は仕事に没頭した。わざと自分を仕事に追い込んで、忙しくした。 私は死なない!殺されたりしない!だって、私が死んだらあの子達はどうなるの?「いつか私が死んだら、お婆ちゃんを頼ってね」とは、いつもあの子達には言ってある。お母さんにも、いつか私が死んだら頼むねと言ってある。でも生活はガラリと変わるだろう。私の母親は、子供にあまり関心がない人だ。お金は出してくれる。でも、愛情は…。私はお母さんに、大好きと言われた記憶がない。だからこそ私は、あんな母親にならない様に、子供達に愛情を持って接してきた。これからだってそう。あんな悪魔に、私の人生を終わらせられてたまるか! ところが終わらせられるんだよなー、俺に! 突然頭の中に声が響いて、目の前に悪魔が現れた。 ヒッ!と思わず仰け反ると、悪魔はケタケタ笑って諦めろと言った。どうせ今作ってるプレゼン資料も無駄になるんだぜ。家に帰って子供達とのアルバムでも眺めて、今夜がお別れになる子供達との思い出にふけったらどうだ? 「余計なお世話よ!!」 思わず悪魔を怒鳴り付けて、立ち上がると、オフィスに居る皆の視線がグサグサと刺さって恥ずかしかった。 「井中(いなか)さん、今日何か変だよ?大丈夫?」 心配そうに訪ねてくる上司に、すみません大丈夫ですと答えると、私は再びカタカタとパソコンのキーボードを打ち続けた。
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