0人が本棚に入れています
本棚に追加
仕事から帰宅しても、悪魔は私に付きまとう。本当、諦めが悪いよあんた。
「いい加減、諦めてよ。私はあんたに恐怖なんて感じてあげないよ。絶対に」
夕飯の準備をしながら、私は悪魔に話し掛けた。
強情な女だなお前は。だが、そんな女を恐怖に陥れて食べる魂は極上の味だ。楽しみだな、お前が俺に恐怖を感じる瞬間が。
「うるさい!あんたも切り刻んですき焼きの具にしてやろうか!」
私は野菜を切っていた包丁を悪魔に向けた。
悪魔はハァ…と溜め息をついた。
せいぜい美味いすき焼きを作るんだな。お前のガキ共が口にできる最後のお前の飯なんだから。
そう言うと悪魔はどこかに行ってしまった。
やれやれ、やっと諦めてくれた。そう思った私は助かったと思い、安堵した。
玄関から子供達の声がする。
お帰りと声を掛けながら、私は玄関へ迎えに行った。
最初のコメントを投稿しよう!