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 円盤はホワイトハウスの中庭に静かに降り立つ。  トランプら数人は慌ただしく階下におり、遠巻きに円盤を囲む。警備兵が銃を構え照準をさだめる。  枝豆形の円盤には、継ぎ目が一つもない。無機質な筐体は、ぼうっと淡く発光し、不気味だ。 そこに、中からレーザーを当てたように、長方形の光が浮き出て、扉のように開くと、人影が現れた。  人影は氷の上をすべるように、すーっとトランプらに近づき、10 メートルほど手前で止まった。 「あなたが、この星の代表ですか?」  トランプがギョッとする。 補佐官が「大統領……お答えを……」とうながす。  うむと、一つ咳払いし答える。 「ああ、わたしが合衆国大統領だ。この地球の代表みたいなものだ」 「わかりました。わたしは、代表者と話すために、この星に来ました」  異星人の見た目は人間と変わらず、トランプたちは不思議と恐怖を感じない。 「は、話? だいたいあなたは、どの星から来たんだ?」 「この星より、すこし未来の惑星です。まだあなた方は発見していないでしょう」 「で……どんな要件で?」 「はい。コロナウィルスを無害化させる技術を提供してさしあげようと」 「え? コロナを無害化? 本当かね?」 「ええ。われわれは、あらゆる疫病を克服してきました。コロナも我々からすれば、ただの雑菌です」  トランプは補佐官に耳打ちする。 「どこの馬の骨ともわからん奴の言うことだ。手放しで喜ぶわけにはいかん」 「おっしゃる通りで。効果検証をしてみては?」 そうだなとトランプ。 「では、その技術とやらを、実験させてほしい」 「わかりました。では、そちらの準備ができたらすぐに実験しましょう」  トランプは箝口令(かんこうれ)をしき、ごく一部のスタッフと学者で、実験の準備にとりかかった。
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