賢者の選択

3

　感染研究所の設備を大至急ホワイトハウスの医務室に移し、異星人の技術を試したところ、コロナウィルスがみるみる消滅し、医務室が色めきたった。まさに根絶できたのだ。

　コロナで医務室に入院中の職員にも試したところ、コロナウィルスは全く検出されず、翌日には退院できるほどに回復した。

「いやすごい技術だ！　ぜひ、ご協力いただきたい！」
「もちろん、この星の生命のために、協力は惜しみません。ただ、一つ条件があります。これから提示する条件をのめるのなら、われわれも準備をして、七日後にふたたび、この星を訪れます」
「条件か……当然だろう。で、どんな条件だ」
「はい……」

　異星人の条件を聞いたトランプは、G20 加盟国を招集し、緊急のウェブ会議を開いた。
　異星人の来訪をはじめて聞いた首脳陣は、トランプの気がふれたといぶかったが、記録映像や学者の説明を聞き、ホラではないと確信した。

　トランプをはじめ、イギリス、フランス、中国、ロシア、インドなど20 か国の首脳陣は、夜を徹して議論を戦わせた。