賢者の選択

4

　二日後、G20 を代表して、トランプが異星人に結論を告げた。
「わかりました。では……」

　円盤はホワイトハウスの中庭から音もなく垂直に浮き上がると、トランプがまばたきする間に星の彼方に遠ざかり、見えなくなった。

※※※

　二日前、異星人は４つの条件を示した。
1. この星の核兵器を全て無くすこと
2. この星の原子力を全て無くすこと
3. この星の破壊兵器を銃器も含めて全て無くすこと
4. 国同士や宗教間の争いや紛争を全て無くすこと

トランプは訪ねた。
「なぜ、こんな条件を？」
「はい。たとえコロナが絶滅したとしても、あなた方は第三次世界大戦に突入し、ついには全滅するからです」
「そ……それほど、地球人は愚かなのか……？」
「あなたがたの歴史がそうではないですか」
「われわれが滅びるのは、本当なのか？」
「はい。わたしたちはこの星よりも未来に住んでいます。あなた方は意識をリセットしないと、滅亡します。ただ、回避することもできます。すべては、あなたがた次第です」
「……わ、わかった。わたしが各国を説得する」
「はい。賢明な選択を信じています」

※※※

　トランプはホワイトハウスのテラスで、円盤が飛び去った星空をみつめ、深いため息を吐いた。

　安堵のため息か、それとも……

—　終　—