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「ちょっと調べるか」
再びベッドに横になり、スマホで検索を始めた。
彗星 位置 アプリ
テキトーな検索ワードで出てきた適当なアプリを立ち上げると、スマホの画面に夏の夜空が現れた。
どうやら彗星は南西の方角に見えるらしい。
夜空で目印になるのは夏の大三角。白鳥座のデネブ。そこから右下に見えること座のベガ、そして左下にあるのがわし座のアルタイルである。スマホ画面ではわし座のあたりにイシュタル彗星の姿が表示されている。さらにその下には おばあちゃん。
「ん? おばあちゃん??」
おばあちゃん座とは初耳だ。
指先を広げてスマホの画面を拡大すると、どうやら彗星の真下あたりに小さな明るくもなんともない星があり、それには おばあちゃん という文字がつきまとっている。
おばあちゃんの星?
ついさっきおばあちゃんは星になったとかそんなくだりがあったが、あれはノスタルジーがちょっとだけ暴走して生まれた設定である。
スマホアプリに登録されているハズがないものだ。
「ホントにあるのか? おばあちゃんの星」
思わずスマホを持ったまま窓から首を突き出して見上げてしまったが、小粒の雨が目に入るだけであった。
「そうだ、雨降ってるんだった」
スマホの画面に目をやると、おばあちゃんの星はうっすらと霞がかかったように消えかかっていた。
というより、画面全体が雲で覆われたようにグレーになっていたのだ。
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